Welcome to One Heart!
今日は、不思議な不思議な少年の話をさせていただこうと思います。
最後にすごい結末を迎えますので長文お付き合いくださいませ。
その少年は、広い広い草原に座り込んでいました。遥か彼方を見晴らせるほどのこの大地はアフリカの様です。少年の姿もアフリカ人の様なブロンズの肌をしていました。
見た目には3歳に満たない程度かしら、とても小さい体を丸めて座り込んでいました。

ふと、立ち上がると少年はゆっくりゆっくり歩き出しました。
段々とその歩く速度も早くなり、少年はさっきよりも大きく見え5歳位のようです。
だいぶ歩いた頃、少年はマーケットにたどり着きました。
そこは、屋台が並ぶ市場でした。
人々の格好や、売っているものを見る限りではそうとう昔のようです。
「こら!」
少年は、勝手に売っているものをお金を払わずに次々と、口に頬張るのでした。
遂には、店主たちに袋叩きにあってしまいます。
「食べたいのなら、何か交換のものをよこしな!」
どうやら、この時代は物々交換で物販されていた様です。
そこを、一人の若奥さんが通り過ぎます。
「大の大人が、なんだい。まだ、少年ではないの。ほら、これで許しておくれ。」
と言って、若奥さんは沢山の木の実を店主たちに渡しました。
その場に残った若奥さんは、少年にどこから来たのか訪ねますが少年は何も答えません。
「名前はなんてんだい?」
「お父さんとお母さんはどこにいるんだい?」
「幾つだい?」
少年は若奥さんを見つめるだけ。
「困った子だよ。」
しかたなく、若奥さんは自分の村にこの少年を連れて帰ることにしました。
村人達は、若奥さんが連れてきた少年を見るとあまり歓迎はしてないようですが渋々受け入れていました。
ここでは、どうやら村という集団での中で誰もが家族の様に暮らしている様です。
「何してんだよ。みつめてないで早くお食べ。」
少年は、スープを手に取り見よう見まねでそのスープを飲むと、その瞬間。
あっちっち!!!
「何だい。あったかい物を食べたことないのかい?困った子だよ。」
「困った子だよ。」
少年が、初めて口を開いたもはこの時でした。
少年は、会話もできず食事すらできずただみんなの言った事を繰り返し食べ方を真似しているだけでした。
夜。各テントに家族が戻るとこの若奥さんの、旦那さんは
「何てことをしてくれたんだ。こいつは、なんにもできない子だそ。厄介なこった。」
若奥さんも、旦那さんの言う通りではないかと気がかりになりました。
翌朝。
「おはよう。よく眠れたかい?」
「。。。」
「お前のお父さんもお母さんも心配してるよ。困ったモンだね。」
返事が、こないのは今始まったことではない。と若奥さんが少年を外へ連れ出そうとすると
「うん。よく寝れたよ。僕お父さんもお母さんもいないよ。」
若奥さんは、びっくり仰天です。
「何だい。喋れたのかい。先に言っておくれよ。照れてたのかい?」
朝食が終わると、村では男たちは、狩りに。女たちは、子どもを連れて食料を摘みにでかけました。
草原では、少年は、乾いた木の実をひたすらもぎ取って集めていました。
「そーじゃないんだよ。そんなのは、乾燥して使い物にならないのさ。ここおいで、美味しい熟れたて果物を食べてごらん。」
そう言って、若奥さんは少年にパパイヤを渡すと少年は初めて食べたという顔をして美味しそうに頬張って食べてしまいました。
ところが、食べ終わるやいなやまた先程の乾燥しきった枯れ葉の辺りに戻って一人黙々と摘み始めるのでした。
変わった子だよ。。。
これが、村人達の間での少年への言葉になってきました。
夕方、女衆は食事を作り子どもは手伝ったり遊んだりしている中で少年は、隅の方で先程とってきた乾燥しきった実を潰したり、こねたり、お湯を入れたりして遊んでいました。
そこへ、男衆が何やら大声をあげて戻ってきました。
「いダダダダダダ。」
一人の若い青年が、足を怪我して戻ってきました。骨が見えんばかりの大きな怪我です。
どうやら、当時はここまでの怪我をしてしまうともうその周辺すべての皮膚を火傷させ麻痺させるという手当しかなかった様です。
その男性も、それを覚悟で体を重くまわりの男に委ねていると。。
「違うんだよ。これこれ。これを塗ってくださいな。」
といって、少年は先程まで遊んでいたあの木の実や薬草で出来たペーストを持ってきました。
大の男が何人もで馬鹿言うな!と押さえつけるも、少年は屈せずその男のふくらはぎにそのペーストを塗り始めました。
すると、どうでしょう。その男は、みるみる正気に戻り怪我も治っていくのでした。
そんな暮らしが始まり幾らか過ぎた頃、少年の成長は早く、あっという間にまるで5、6年も経ったかのように少年は、10歳位になっていました。
「お前ももう、いい大人の男だ。狩りに出ろ。」
ところが、当時の狩りときたら何の道具も文明もなく少年は村人に、落とし穴や弓矢などを教え少しづつ村の狩りが充実していくのでした。
ある朝。
少年が起きると、若奥さんが肩をすくめて泣いているのが見えました。
「あの人が、死んじゃったんだよ。」
若奥さんが泣き崩れてそう、少年に言いました。
すると、少年は
「良かったじゃない。あの人あなたをすごく束縛していたものね。自分の事を嫌いだったんだよね。それに、あなたもあの人の事を本当は好きじゃなかったじゃない。この村の人は、みんな大きくなると結婚するもんね。怖かっただけでしょ。」
確かに、若奥さんの旦那さんは恐れの多い人。それ故か、常に癇癪を起こしていました。
旦那さんはこの少年にこの村をのっとられたら困ると一人必死に昔のやり方を貫いた男。ある日狩りの最中亡くなっている所を発見されたのも一人だけ、昔のままの狩りを貫いたので最後には、自分で罠にハマってしまい動物達に食べられてしまったのです。
少年が教えてくれた新しい狩の方法を受け入れることはできずましてや、これは何かの陰謀かもしれないと頑なに少年を疑っていたのです。
少年には、何も教わらなくとも何かそんな事を見抜ける力がある様でした。
そして、ここから物語は思わぬ方向に動くのでした。
この続きは、パート2へ。
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